顔⾯神経⿇痺について
顔面神経麻痺とは顔面の筋肉を動かす神経が障害され、目が閉じれない、食べ物や唾液が口からこぼれる、口や目が左右どちらかに引っ張られるような症状が出ます。
原因としては、ウイルス感染や自己免疫性疾患、脳卒中、脳腫瘍、ライム病、サルコイドーシス、外傷などがあります。
急に⿇痺が⽣じる疾患
ウイルス感染（⾃⼰免疫性疾患）で⽣じる⿇痺
顔⾯神経は頭の⾻から出る時に細い管を抜けて出ていきます。ウイルス感染などが原因で顔⾯神経が炎症し腫れると細い管の中で圧迫され神経の障害や破壊が起こり⿇痺が発症します。
ベル⿇痺とハント症候群という⼆つの病気があります。
ベル⿇痺とは
仮説ではありますが、1型単純ヘルペスウイルスが原因と⾔われています。
⿇痺の中で最も多く認められており、無治療でも70％以上が後遺症を残さず改善しますが、早期に医療機関を受診することをお勧めします。（ベル⿇痺ではない場合があるため）
ハント症候群とは
⽔痘・帯状疱疹ウイルスが原因で発症し、炎症も強く難治性で後遺症を残しやすいところがベル⿇痺との違いです。
中⽿炎や外⽿炎なども起こし、⿇痺以外に難聴や神経痛などの後遺症も残る場合があります。
治療
内服治療
どちらの⿇痺も早期治療が重要であり、同じ種類の薬（ステロイド剤・抗ウイルス剤・循環代謝賦活剤・ビタミンＢ12など）を使⽤しますが容量が違います。
発症初期ではどちらの⿇痺か鑑別することは難しいので、当院では⿇痺スコア（柳原法）を使⽤して
軽 症：20以上/40点
中等症：18〜10/40点
重症例：8以下/40点
と評価しステロイドと抗ウイルス剤の容量を判断して治療を⾏っております。
麻痺スコア(柳原法）
| ほぼ正常 | 部分麻痺 | 高度麻痺 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 安静時非対称 | 4 | 3 | 2 | 1 | 0 |
| 額のしわ寄せ | 4 | 3 | 2 | 1 | 0 |
| 軽い閉眼 | 4 | 3 | 2 | 1 | 0 |
| 強閉眼 | 4 | 3 | 2 | 1 | 0 |
| 片目つぶり | 4 | 3 | 2 | 1 | 0 |
| 鼻翼を動かす | 4 | 3 | 2 | 1 | 0 |
| 頬を膨らます | 4 | 3 | 2 | 1 | 0 |
| イーと歯を見せる | 4 | 3 | 2 | 1 | 0 |
| 口笛 | 4 | 3 | 2 | 1 | 0 |
| 口をへの字に曲げる | 4 | 3 | 2 | 1 | 0 |
| 合計 | /40 | ||||
星状神経節の近⾚外線照射
顔⾯の⾎流を改善することで神経の炎症や浮腫を改善し⿇痺を回復させる効果があります。
当院では、⽪膚の炎症などが激しくない場合は来院初⽇より⾚外線照射治療が可能であり、顔⾯の痛みや⿇痺の後遺症に対しても定期的に照射を⾏っております。
リハビリ
病的共同運動（⽬閉じようとすると⼝が⼀緒に動いてしまう）やひきつれといった後遺症を予防⽬的で⾏います。
発症初期は、筋⾁が縮まない様に1⽇に2回（1回10分程度）筋⾁をゆっくり伸ばしてあげることや蒸しタオルなどで顔を温めてあげることが重要です。
⿇痺が回復してきたら、ゆっくり動かしてまぶたと⼝が⼀緒に動かないように独⽴して動かすようにリハビリをします。
激しく筋⾁を動かすようなリハビリは、かえって病的共同運動の合併を助⻑させることになります。
⼿術
顔⾯神経減荷術術後の副作⽤も多く、現在はあまり⾏われていません。
ボトックス治療
後遺症で顔⾯けいれんを合併した場合に重症例で⾏われます。脳卒中による⿇痺
- 脳幹梗塞出⾎などで発症しやすい
- 意識障害や⽚⿇痺、頭痛などの症状も発症していることが多い
- 中枢性の⿇痺であるため、前額部のしわ寄せが可能で顔⾯の下⽅に⾏くほど⿇痺が著明になる
徐々に進⾏する⿇痺
-
両側⿇痺の場合があるもの
- 神経障害（ギランバレー症候群）
- サルコイドーシス
-
⽚側⿇痺のもの
- 脳腫瘍（聴神経腫瘍）
⾚外線照射治療
アルファビームーALB-200H
あたたかい⾚い光（近⾚外線）で障害のあるところの⾎⾏を改善し症状を緩和してくれます。
星状神経節近傍に⾚外線を照射すると星状神経節ブロックと類似の効果が得られ、また、神経に直接作⽤して種々のストレスで緊張している神経を平常な状態にもどしてくれます。
いろいろな慢性疼痛の治療にも使⽤されています。
治療効果があるもの
⽿⿐咽喉科
- 顔⾯神経⿇痺
- 顔⾯神経痛
- 突発性難聴
- めまい
- ⽿鳴り
- 三叉神経痛
整形外科
- 腰痛
- ひざ痛
- 肩痛
- 胸郭出⼝症候群
⽪膚科
- 帯状疱疹後疼痛
- 円形脱⽑症
このような症状がございましたら当院までご相談ください。
