一般内科について
当院では、⾵邪・発熱・腹痛・頭痛などの疾患や⾼⾎圧症・糖尿病などの⽣活習慣病の他に不眠やうつ病、不安症などの⼼療内科や膠原病・痛⾵・狭⼼症・弁膜症・不整脈・慢性閉塞性肺疾患(COPD)・肺気腫・甲状腺疾患・認知症・泌尿器科など幅広い疾患に対応しております。
ここでは、最も⼀般的な⾵邪の診療について説明させていただきます。
下記の症状でお困りの方は、当院までお越しください。
⼀般内科の主な症状
- ⾵邪
- 発熱
- 倦怠感
- 気分がすぐれない
- 元気が出ない
- 眠れない
- ⾷欲が出ない
⼀般内科の疾患
- ⾵邪症候群
- インフルエンザ
- 頭痛
- うつ病
- 不眠
⾵邪とは
⾵邪は急性上気道炎ともいわれ、主にウイルス感染(90%以上)などで声帯より上部の器官である喉頭や咽頭、扁桃、⿐などの上気道に炎症が⽣じる状態のことを⾔います。そのため、⿐汁やのどの痛み、咳などの症状を発症します。
この炎症が悪化して下気道(気管、気管⽀、肺)まで炎症が波及すると気管⽀炎や肺炎などの病気となります。また、ウイルスが消化管などに感染し、腹痛や下痢、嘔吐などの症状を発症した状態を感染性胃腸炎(お腹の⾵邪)と⾔います。
治療方法
原則は対症療法です。
- 対症療法とは、咳が出てれば咳⽌め、のどが痛ければ痛み⽌めといった症状軽減⽬的の治療で、原因病原体に対する治療ではありません。
ウイルス感染が多いため、ほとんどの例で抗⽣剤は無効で14⽇以内に⾃然軽快します。
14⽇以上続く⾵邪症状は、⾵邪でない可能性があります。
症状 | 可能性がある疾患 |
---|---|
咳が止まらない | 肺癌・喉頭がん・結核・肺炎・副鼻腔炎・声帯麻痺・アレルギー性咳嗽・甲状腺疾患 |
発熱がなおらない | 免疫不全・膠原病・肺炎・心内膜炎・血液のがんなど |
鼻汁が止まらない | 副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎・血管運動性鼻炎・髄液漏 |
のどの痛み・違和感が改善しない | 咽喉頭神経症・逆流性食道炎・副鼻腔炎・甲状腺疾患・喉頭がん・食道癌 |
下痢がなおらない | 潰瘍性大腸炎・クローン病・細菌性腸炎・過敏性腸症候群・大腸がん |
上記症状が改善しなくてお困りでしたら、当院までご相談ください。
インフルエンザとは
インフルエンザウイルス感染は、他のカゼより症状が激しく重篤な合併症も来しやすいことからカゼ症候群(普通のカゼ)から区別されております。
本ウイルスにはA/B/Cの3型があり、A/B型は主に寒い季節に流⾏しますが夏季でも散発的に感染を認めることがあります。C型は季節性がなく主に5歳以下の⼩児に感染し症状も軽症なことが特徴です。
インフルエンザ感染治療のポイント
- 発症から12~48時間以内に医療機関を受診するべきである。
- 感染していても発症12時間以内は検査で陰性と出ることが多い。
- 発症から48時間以内に抗インフルエンザ薬を投与しないと効果がない。
- 抗インフルエンザ薬が処方されたら、すぐに使用するべきである。
- 朝、昼、夕まで待たない
- 発症早期は機械式の診断キットで検査するのが有効である。
※当院では富士ドライケムを使用 - ワクチンを注射しても感染する場合がある。
- 発熱しない場合がある。
- なぜ発熱しないインフルエンザ感染があるのか?の項を参照
- 流行期や周りに感染者がいた場合は、軽いカゼ症状でも感染の可能性が高い。
院内感染予防ご協⼒のお願い
- 当院に来院希望の⽅は、まず診療のご予約をしてください。
- 原因病原体に接触する確率を低下させる⽬的で、予約したすべての⽅に呼び出しメール設定をして頂いて予約時間直前のご来院をお願いしております。
- 待合室以外の部屋にご案内しますので、⾼熱がある場合やインフルエンザ感染している、または疑いがある⽅は来院された際に受付にお伝えください。
インフルエンザの潜伏期間と症状
潜伏期間は1〜3⽇ほどで、突然の⾼熱(通常38度以上)・頭痛・関節痛・筋⾁痛・全⾝倦怠感などの症状の後に上気道症状(⿐汁・咳・咽頭痛)が続きます。
腹痛や下痢を伴う場合があります。
インフルエンザの診断
問診の症状と、迅速診断キットで診断を行います。
高感度迅速診断キット
(富⼠ドライケムIMMUNO AG1)
写真現像の銀増幅技術による感度・特異度向上技術を採⽤して病原菌を⾼感度で検出できます。
判定時間は、5〜15分です。
検査できる病原菌
- インフルエンザ
- マイコプラズマ感染症
- A群溶連菌
- アデノウイルス
- RSウイルス


▲ウイルスを早く見つける。| FUJIFILM
⾁眼判定の迅速診断キットで検査できる病原菌
- インフルエンザ
- マイコプラズマ感染症
- A群溶連菌
- アデノウイルス
- RSウイルス
- ヒトメタニューモウイルス
- ロタウイルス
- ノロウイルス
インフルエンザの治療
対症療法
- 症状を和らげる薬を投与します。
原因療法
- 抗インフルエンザ薬(A/B型のみ)を投与します。
インフルエンザウイルスの増殖のしくみ
- インフルエンザウイルスは体内に侵⼊すると宿主細胞膜に吸着します。
-
①吸着するには、 ウイルス表面にあるHA:ヘマグルチニンとNA:ノイラミニターゼ(C型は違う蛋⽩質)という蛋⽩質が必要です。
- 蛋⽩質の構造の違いからHAは16種類とNAは9種類が報告されており、インフルエンザウイルスの亜型は、それらを掛け合わせて144種類(例H1N1・H3N2など)存在します。
- 吸着するとウイルスは、②飲⾷作⽤により膜につつまれて宿主細胞内に③取り込まれます。
- ウイルス表⾯はもともと殻のような膜で覆われており、飲⾷作⽤後は、もう⼀つの膜に覆われます。ウイルスが遺伝⼦を複製するためには、この2つの膜が邪魔になるため、M2蛋⽩(B/C型は違う蛋⽩)の働きで膜を崩壊させてウイルス遺伝⼦を細胞質に④放出させます。
- 核内に移⾏したウイルス遺伝⼦は、ウイルスRNA遺伝⼦の⑥複製が⼤量に⾏われるのと同時に、宿主のⅿRANの1部を使⽤して⾃⼰の⑥ⅿRAN合成を完成させます。
- 完成したmRNAは細胞質にあるリボゾームに移動し⑦ウイルス構成蛋⽩質(HA・NAなど)を製造し、宿主細胞膜にウイルスRNA遺伝⼦とともに運ばれ⼤量の⑧ウイルス複製が⾏われます。
- 複製されたウイルスはノイラミニターゼにより宿主細胞から⑨切り離され⑩放出されます。

インフルエンザ治療薬の作⽤機序と種類
ノイラミニターゼ阻害剤
ノイラミニターゼは複製されたウイルスを宿主細胞から切り離す役割があります。これを阻害するとウイルスが他の細胞に飛び立てなくなり増殖が抑制されます。
ウイルスmRNA阻害剤
(エンドヌクレアーゼ阻害剤)
ウイルス⾃⼰のmRNA合成を阻害するとウイルスRNAの殻にあたる部品(ウイルス構成物質)の製造が出来なくなります。その結果、ウイルスRNAが⼊る殻(RNAの家であり乗り物)が作れなくなり増殖が抑制されます。
ウイルスRNA合成阻害剤
(RNAポリメラーゼ阻害薬)
ウイルスの殻の中に入るウイルスRNA遺伝子の合成を阻害することで増殖を抑制する薬です。現在限られた施設しか使用できません。
M2蛋⽩阻害剤
ウイルス殻と飲⾷作⽤の膜を破る作⽤のM2蛋⽩を阻害することでインフルエンザウイルスを殻に閉じ込めて増殖出来ないようにする薬です
- アマンタジンは唯⼀のM2蛋⽩阻害剤ですが、現在インフルエンザ治療には、ほとんど使⽤されていません。
機序 | ノイラミニターゼ 阻害剤 |
ウイルスmRNA 阻害剤 |
ウイルスRNA 阻害剤 |
M2蛋白 阻害剤 |
||
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効果 | A/B型のみ | A/B/C型 | A/B/C型 | A型のみ | ||
ウイルス排出 消失時間 |
72時間 | 24時間 | ||||
薬剤名 | 投与 日数 |
単回 | イナビル (吸) |
ゾフルーザ (錠・顆) |
||
ラピアクタ (点)※ |
||||||
5日 | タミフル (CAP・細) |
アビガン (錠) |
アマンタジン (錠・細) |
|||
リレンザ (吸) |
CAP:カプセル/錠:錠剤/細:細粒/顆:顆粒/吸:吸入薬/点:点滴薬
※重症時連日投与
抗インフルエンザ薬の選択法
ゾフルーザは単回投与で選択されやすい薬ですが、ウイルスの耐性化や価格が高いなどの問題があります。抗インフルエンザ薬の選択でお悩みの方は、下記の表や価格一覧表をご参考ください。
投与 期間 |
薬の名前 | 5歳以上 | 生後2週から5歳未満 | 内服できない | 錠剤がのめない | 吸入剤と錠剤が使用できない | 吸入剤も内服もできない | 気道が 過敏 |
吸入剤がうまく吸えない |
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単 回 |
ゾフルーザ錠(内) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
ゾフルーザ顆粒(内)※ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
イナビル(吸) | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
ラピアクタ(点)※ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | ◎ | ◎ | |
5 日 |
|||||||||
リレンザ(吸) | 〇 | △ | 〇 | 〇 | △ | ||||
タミフルCAP(内) | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
タミフル細粒(内) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
◎:重症の場合は第1選択
〇:推奨
△:リレンザは単回投与でないため⼀度失敗しても次があるため練習ができます(吸⼊⼊⾨薬)
- ゾフルーザ顆粒は体重20㎏未満の⼩児の使⽤に対して承認が取れていないため、2019年4⽉時点ではまだ発売されていません。10㎏以上の⼩児に錠剤使⽤可能です。
- ラピアクタは、通常は単回投与ですが重症の場合は連⽇投与が可能です。
抗インフルエンザ薬の投与法
- A/B型インフルエンザ感染症の治療に対して投与します。
- 発症早期に投与するとより効果的で時間がたてば効果が減弱します。発症して48時間以内に投与しないと原則的に効果が得られません。
- 重症化のリスクが⾼く症状が遷延する場合は、発症後48時間以上でも投与を考える場合があります。
- 多くは⾃然軽快する病気なので、投与は必須ではありません。
- 投与しない場合は対症療法を、肺炎などを合併している場合は抗⽣剤を併用します。
48時間以内に投与が必要な理由
48時間以降に投与してもウイルスが増殖しきっていて⾃⼰免疫も増加してくる時期であるため、投与しても治癒期間の短縮にはなりません。
インフルエンザ感染による異常⾏動と注意事項
- 就学以降の⼩児・未成年者の男性に多く認められる。
- 寝起きに起きやすい。
- 発熱から2⽇間以内に異常⾏動が発現することが多い。
- その間、転落等の事故防⽌のための対策や患児の監視をする。
- 事故防⽌対策として、1階などに寝かせるようにする。
- マンションなどで1階に寝せることが出来ない場合は、窓ガラスや⽞関等の鍵やチェーンを閉めたり、その近くに寝せないように対策をする。
なぜ発熱しないインフルエンザ感染があるのか?
昔からの要因
- インフルエンザウイルスに抵抗する免疫⼒が強い。
- A型インフルエンザ感染でも認めるが、B型のほうが⽐較的多く認められる。
- ⾼齢者(⼆つの理由)
- 感染の経験値が⾼いため、多数の亜型インフルエンザウイルスに対する抗体を持っている。
- 免疫⼒が低下し、発熱がおこらない。(重症化しやすい)
現代の要因
- インフルエンザワクチン接種をしている。
- 痛み⽌めや解熱剤、⾵邪薬、漢⽅薬を内服している。
熱を下げる代表的な薬剤
- NSAIDs(痛み⽌め・解熱剤・⾵邪薬)
インフルエンザ感染時に内服しても安全なもの
薬剤名:ロキソニン・イブプロフェン・カロナールなど
※下線の内服は成⼈のみ投与可能 - NSAIDs(痛み⽌め・解熱剤・⾵邪薬)
インフルエンザ感染時に内服禁忌なもの - サリチル酸系成分含有の解熱剤
薬剤名:PL配合顆粒・ピーエイ配合錠・バファリン配合錠・エテンサミドなど - ジクロフェナク含有の解熱剤
薬剤名:ボルタレンなど - メフェナム酸含有の解熱剤
薬剤名:ポンタールなど - インフルエンザ脳症などの合併を起こす場合があるため、インフルエンザ感染時は上記❷の内服薬は飲まないようにお願いします。⽇常的に飲んでいる場合は主治医と相談してください。
- 漢⽅薬
薬剤名:⿇⻩湯・葛根湯・葛根湯加川芎⾟夷・⼩⻘⻯湯など(⿇⻩含有のもの)