呼吸器科
当院では感染による肺炎やアレルギーによる喘息や咳症状、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの診療だけでなく禁煙外来や睡眠時無呼吸症候(SAS)の治療にも⼒を⼊れております。
また、慢性的な咳に対して下記のような診断と治療を行っておりますので、咳が治らなくてお困りの方は、長引く咳の項目をご参考までにお読みください。
このような症状でお悩みの方は、当院までお尋ねください。
呼吸器科の主な症状
- 咳
- 痰
- ⾎痰
- 喘鳴
- 息切れ
- 呼吸困難
- 胸が痛い
- 背部痛
- ばち状指
呼吸器科で診療可能な病名
肺実質の病気
- 喘息
- 咳喘息
- アトピー性咳嗽
- 肺炎
- 間質性肺炎
- 結核
- 気胸
- 無気肺
- 肺癌
- 腫瘍
- COPD(慢性閉塞性肺疾患)
- 肺気腫
- 肺⽔腫
- 気管⽀拡張症
胸膜の病気
- 胸膜炎
- 胸膜腫瘍
- 癌
縦隔の病気
- 縦隔炎
- 縦隔腫瘍
- 癌
肺の⾎管の病気
- 肺塞栓症
- 肺⾼⾎圧症
- Wegener⾁芽腫
長引く咳(咳が⽌まらない)とは
⻑引く咳には、いろいろな科にわたり多くの要因が考えられます。かぜであれば⻑くても14⽇前後で改善しますので、3週間以上続く咳はかぜでない可能性があります。
数か⽉間から1年以上続いている咳をかぜと思い込んでいる⽅も多く、放置して病気を進⾏させてしまっている場合があります。特に咳の原因が悪性腫瘍などでは、発見が遅れるほど命のリスクが高まりますので4〜8週間以上続く咳の場合は必ず医療機関を受診してください。
⻑引く咳の診断⽅法
咳の診断方法については、詳細を以下に掲載しています。
アレルギー性の長引く咳
好酸球性気道炎疾患
喘息(慢性剥離性好酸球性気管⽀炎)
喘息(気管⽀喘息)とは慢性剥離性好酸球性気管⽀炎とも呼ばれおり、中枢気道から末梢の細気管⽀全体に慢性のアレルギー性炎症が起きる病気です。慢性炎症から気道過敏症が亢進(気道周囲の平滑筋収縮や気道粘膜の浮腫、気道粘液分泌の亢進)し気道の狭窄や閉塞が⽣じた結果、咳や痰、喘鳴(ヒューヒュー、ゼイゼイ)、呼吸困難などの症状が起きます。夜間や早朝、季節の変わり⽬、低気圧、かぜなどで喘息発作は起こしやすく、喘息にはアトピー型と⾮アトピー型の⼆つがあります。
アトピー型とは小児期に発症することが多く、ほとんどの小児喘息と成人喘息の半数近くがこの型に含まれます。ハウスダストやダニ、花粉といった特定のアレルゲンに反応を起こし発症します。
非アトピー型とは成人発症が多く成人に多く認められます。アレルゲンの特定もできず風邪やストレス、喫煙、天候、運動、薬剤などが発作の原因になります。
咳喘息(好酸球性下気道炎疾患)
喘息同様に中枢気道から末梢気道全体の好酸球性細気管⽀炎ですが、喘息で認める喘鳴や呼吸困難を伴わない慢性咳嗽です。気道過敏症の軽度亢進があり、気管⽀拡張剤が有効で喘息の亜型と定義されます。
喘息同様に就寝時や夜間、早朝に症状が出やすく⾵邪、冷気、運動、喫煙、⾬天、花粉などで症状が悪化します。そして数年の内に約30%の咳喘息患者が典型的な喘息に移⾏します。
アトピー咳嗽(好酸球性下気道炎疾患)
喘息とは違い中枢気道に限局した好酸球性気管⽀炎で、咳感受性は亢進していますが気道過敏症は正常です。気管⽀拡張薬が全く無効な咳嗽であり、ヒスタミンH1拮抗薬とステロイド薬などが有効です。
アトピー性素因を認めることが多く、就寝時から起床時の間に咳嗽が出現しやすく、冷気や受動喫煙、⾹⽔などが咳嗽の誘因となります。
※アトピー性素因とは、本人または家族が喘息やアレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎に罹患中や既往があること
喉頭アレルギー(好酸球性上気道炎疾患)
アレルギー炎症が喉頭に限局して起き下気道(気道)の炎症は伴わない慢性咳嗽です。痰が絡んだような感じ、のどの痒み、イガイガ感などの症状を伴い、アレルギー性⿐炎のようなアトピー性素因を認めることも多く治療はアトピー咳嗽に順じます。
好酸球性気道炎疾患の特徴と治療
喘息未治療患者の症状と治療ステップ関係
呼吸器検査
呼気⼀酸化窒素検査器
(呼気NOモニターNobreath)
吐く息の中(呼気中)のFeNO(⼀酸化窒素)の濃度を測定する検査です。
慢性的なアレルギー性の好酸球性気道炎症により呼気中のNOの濃度が⾼くなるのを利⽤し、好酸球性気道炎疾患(喘息・咳喘息・アトピー咳嗽・喉頭アレルギーなど)を他の慢性咳嗽疾患と鑑別するために使⽤します。
喘息などの治療状況が、良好なのか、悪いのかを判断するためにも役⽴ちます。
呼気NO検査でFeNO濃度に影響を与える因⼦
FeNOへの影響 | NO濃度が低下する | NO濃度が高値になる | |
---|---|---|---|
因子 | 年齢 | 年齢が若いほど | 加齢と共に |
性別 | 女性、特に生理・妊娠中 | 男性 | |
呼吸機能検査 | 検査後一過性に低下 | ||
呼気流速 | 速い、感度が鈍い | 遅い、感度がよい | |
気道径 | 拡張薬投与直後 | 気管収縮物質投与直後 | |
食事 | ※硝酸塩を多く含む食材の摂取 | ||
アルコール | 飲酒 | ||
喫煙 | 喫煙者・喫煙直後 | ||
感染 | 上下気道感染 | ||
薬剤 | ステロイド・NO合成阻害剤・LTRA:Ⅱ-1参照 | L-アルギニン | |
アトピー素因 | アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎 | ||
外気 | 車の排気ガス・石油ファンヒーター |
- 硝酸塩を多く含む食材:サラダ菜・ターサイ・ほうれん草・菊菜・青梗菜・ごぼうなど・その他
呼気⼀酸化窒素検査の⼿順
- 検査当⽇は飲酒やタバコなどは控えるようにしてください。
- ⾷事は検査2時間前までに済ますようお願いします。
- 上記の内服薬を常時使⽤している場合はご提⽰をお願いいたします。
- 検査⽅法は息を吸って⼀定の流速で息を吐いてもらう簡単な検査で結果はすぐに出ます。
- 22~25ppb以上だと好酸球性気道炎症が疑われます。
レントゲン検査
デジタルレントゲン撮影装置
レントゲンとはX線撮影ともいわれおり、エックス線を検査したい部位に照射し内部の構造を⾒る検査で胸部・腹部・頭部・⾻・関節などの病気の診断に使⽤されます。
当院では富⼠画像診断ワークステーション「カルナコア」にてレントゲン撮影をデジタル画像にしており、検査後すぐに映像化され診断説明でききます。
レントゲン撮影でわかること
- 胸部レントゲン
- 胸部レントゲン
- 肺炎
- 結核
- 気胸
- ⼼不全
- 肺⽔腫
- ⼤動脈瘤
- 慢性閉塞性肺疾患(肺気腫)
- 肺癌
- 肺腫瘍
- 縦隔腫瘍
- 胸膜腫瘍など
- 腹部レントゲン
- 腸閉塞
- 消化管穿孔
- 尿路結⽯
- 胆⽯症など
- 頭部レントゲン
- 副⿐腔炎
- 頭蓋⾻⾻折
- 顔⾯⾻折など
- ⾻レントゲン
- ⾻折
- 椎間板ヘルニア
- 変形性関節症
- ⾻腫瘍
- ⾻髄腫など
胸部レントゲン経時差分処理システム
- 以前のレントゲンと現在のレントゲンを重ね合わせて微妙な変化を画像化するシステムです。
- 肺癌などの早期発見のために当院で健康診断を行ったすべての方に、このシステムを利用しております。
胸部レントゲン経時差分処理システム(例)
呼吸機能検査(電⼦式診断⽤スパイロメータ)
呼吸機能検査とは、まず息を思い切り吸い込み、次に⼒いっぱい最⼤限に吐いて計測する検査です。つまり、肺の空気の換気を調べる検査です。
- 呼吸機能検査
呼吸機能検査を検査する医療機器です。肺気腫・喘息・じん肺などの診断に必要な検査です。 - 肺年齢検査
肺年齢とは、全年齢ごとの肺機能の平均を標準として⾃分がどの年齢層の標準に属しているかを調べる検査です。
調べられること
- 努⼒性肺活量(ml)
最⼤限に息を吸い込んだ状態から⼀気に吐き出した時に最後まで吐き出した空気の量を努⼒性肺活量といいます。 - 1秒量(ml)
努⼒性肺活量の最初の1秒間に吐き出せる空気の量が1秒量といいます。 - %肺活量(%)
努⼒性肺活量÷予測肺活量×100(80%以上正常・80%未満拘束性障害)
※予測肺活量とは年齢や性別から算出された基準値 - 1秒率(%)
1秒量÷努⼒性肺活量×100(70%以上正常・70%未満閉塞性障害)
拘束性肺疾患と閉塞性肺障害とは
- 拘束性障害とは肺の広がりが悪くなった状態のことです。
:%肺活量80%未満
疾患:突発性間質性肺炎(肺線維症)・サルコイドーシス・塵肺、胸膜炎・神経筋疾患等 - 閉塞性障害とは気道が狭くなり息が吐きにくくなった状態のことです。
:1秒率70%未満
疾患:気管⽀喘息・慢性気管⽀炎・閉塞性肺疾患(肺気腫)・びまん性汎細気管⽀炎等 - 混合性障害とは①と②の両⽅の障害を併せ持った病態のことです。
疾患:①と②の疾患が悪化すると③になります。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
タバコなどの有害な空気を吸い込むことによって肺に慢性的な炎症が起こり、空気の通り道である気管⽀が細くなったり、肺胞まで破壊される肺気腫という状態のことをいいます。
肺気腫になると酸素の取り込みや⼆酸化炭素の排出が障害され、体を少し動かしただけでも息切れを起こしたり、咳や痰が頻繁に出るようになります。
検査
- 胸部レントゲン
- 呼吸機能検査
- 胸部CT検査
治療
-
禁煙の治療が基本
- 気管⽀拡張剤
- 吸⼊ステロイド薬
- 在宅酸素療法
- 呼吸リハビリテーション
(⼝すぼめ呼吸・腹式呼吸の呼吸訓練・運動療法・栄養療法)
在宅酸素療法・⼈⼯呼吸器管理
在宅酸素療法とは
当院では体の中に酸素を⼗分に取り込めないという⽅に対して、⾃宅や運動時などに不⾜している酸素を吸⼊する治療法を⾏っています。
⾃宅に「酸素供給機」を設置し、⻑期にわたり酸素吸⼊をいたします。
⼈⼯呼吸器管理
睡眠時無呼吸症候群や慢性⼼不全などのCPAPやASV治療なども⾏っております。
在宅などで⼈⼯呼吸器管理や気管切開部のカニューレ交換などの訪問診療もしております。
対象疾患
- 慢性閉塞性肺疾患
- ⾼度慢性呼吸不全
- 肺⾼⾎圧症
- 慢性⼼不全の対象患者
- チアノーゼ型先天性⼼疾患
パルスオキシメータエニィパルウォークATP-W
最⻑16時間の動脈⾎酸素飽和度の記録が出来ます。歩⾏時や運動時、睡眠時の酸素飽和度を記録します。
在宅酸素の必要な⽅に⾏われる検査で、在宅酸素の有無や酸素濃度調整の判断のために検査が⾏われます。
睡眠時無呼吸症候群の診断に使⽤されます。